大好きだった元カレと再会した話

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久しぶりに昔付き合っていた人に会った。かつて、私にとってのこの人は世界の全てだった。大袈裟ではなく本当にそうだった。
この人に会った瞬間からこの人を手に入れるまで大変苦労した。苦労したので、手に入れてからも大事な宝物のようであり、神様のようにも思っていた。私の幸せや不幸はこの人によって決められるようになった。
この人が私といてくれればそれで私は幸せだった。この人が意見を変えれば私はその日不幸だった。
人生で1番この人のために泣いたし傷つけられた。でもこの人が私を1番幸せにした。
この人は私の喜ぶことや悲しむことをちゃんとわかっていて、私の言葉が正しい意味でこの人に伝わった。この人と話すのが1番楽しかった。私のこれまでの人生で私をちゃんと理解してくれたのはこの人だけだ。

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そんな世界の全てと久しぶりに会った。
会う意味も期待もなかった。それでも会ったのは、婚活の息抜きをしたかったからだと思う。
この人と会って会話をすることは楽すぎて、人と会うことに気合をいれなくてよかったから。自分を最初からよく知っている人と気楽に話したかった。

一緒にカフェに入り、向こうはアイスコーヒーを、私はミルクティーを飲んだ。
この人は前より元気そうだった。私はそこにほっとした。私と離れて元気なら離れる意味はあったと思えた。
空気のように隣にいた。私が最近SNSを楽しんでやっている、文章を書いたりもしていると言ったら嬉しそうだった。
この人は私に常に自分らしくいるように求める人だった。あなたの隣にいたい!あなたといることが楽しいの!と喚いても、とにかく自分のしたいことをして。俺と離れたら俺は他人なんだからと言っていた。
しかしこの人が望むこととは反対に、私はこの人と会ってからこの人に勝る趣味や楽しみは無くなっていた。全てに興味が失せて、ただこの人を追いかけ続ける日々だった。

今までの恋愛について聞かれたが、私はこの人に答える気はなかった。彼氏はあれからいないと言った。
この人は馬鹿正直に「最近色んな女の子と遊んでいる」「週に何人も家に連れ込んでる」と言った。

私はそれを聞いても傷つかなかった。そんな人ではなかったので意外で驚いたが、もうこれが嘘で本当でもどうでもよかった。どんな女の子が彼の家に上がりこもうが彼にどんな風に抱かれようがどうでもよかった。

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私にとっての世界の全ては、いつだって私だけだ、と気づかされた。他人は私の全てにはならない。だってあんなに好きだったのにこの人のために泣く事はもうないとこの瞬間、実感してしまったから。

私はこの人と寝ても寝なくても付き合っても付き合わなくてもどうでも良くなっていた。
3年後、この人と一緒に住むことになっても、今後この先一生会わなくてもどちらでもいい。

人の感情は恐ろしいなと思った。だって離れたら死ぬと思っていたのに。でもこれが時間が経つということだった。この人と離れたのに私はまだ結婚していない。何もかも進んでなくて嫌になるし、事態が好転しない悔しさから、この人への恨みが止まらない日も正直、あった。元はと言えばこの人のせいで…と怒りが込み上げて寝れない日もあった。
今はなんとも思わない。悲しみや怒りは溶けてなくなったみたいだ。

好きになること、手に入れること、失うこと、諦めなきゃいけないこと、どうしても離れられないこと、どうでもよくなること、たくさんこの人から教えてもらった。

江國香織の小説の言葉がふと頭によぎる「なぜ嘘をつけないのか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」

馬鹿正直に私に今の状況を教えてくれるこの人。この人にとって私はもう守りたいものではない。
それに比べて、今までの恋愛を私がこの人に隠すのはなぜか。
私が彼に嘘をつくのはきっと、この人の中の「彼に純粋で一途な私像」を守ろうとしているだけなのかもしれない。私はずるいからそれだけだ。私ももうこの人との関係性を守りたいと思う気持ちはなくなっていた。

そんな事実さえ受け止められる。手を繋いで同じ場所に帰る事はもうない。でも悲しくない。ミルクティーを飲み終えて、私だけの家に帰宅した。

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