最近一つ恋愛を終えた。数ヶ月の短い恋愛だった。私から見た元彼はとにかく完璧だった。
男の人にしては上品で、日常会話でさえ賢さが滲み出ていて、でもそれを自慢したりしない謙虚さがあって、望む場所へ連れて行ってくれて優しくて、声や微笑み方が可愛くて、高い鼻が綺麗で、ユーモアがあって面白くて、人の役に立つ仕事をしていて高収入で尊敬できて、約束を守る誠実な人だった。
でも彼のことがこんな風に完璧に見えているのは、彼が本当に完璧だからではない。
単純に「彼が私に弱点や欠点を見せていない」ということだった。
彼は賢いから、その賢さ故、私が何を言ったら喜ぶか、私に何を言ったら私が離れるかきちんと分かっていた。
私は彼のその完璧な振る舞いに魅了され「彼の完璧な部分だけ抽出された彼」と恋愛していた。
それは甘く楽しい完璧な時間だった。
私は思わず何度も言った。「あなたは完璧だね」と。
彼は「よく言われる」と可愛く笑っていた。
完璧な彼から彼が隠していた秘密を聞いたのは数ヶ月後だった。
衝撃的で彼が今までと別人に見えて、騙されていたと感じてしまいショックで思わず泣いた、でも同時に納得した。
やっぱり、こんな完璧な人いるわけないよね。
受け入れられなくて涙が止まらないと同時に、一緒に泣いている彼を見て初めて本物の彼が見れた気がした。
ずっと完璧を演じてて辛かったね、私に合わせてくれてたんだねごめんね、と申し訳なくなった。
私達はでもそれからすぐに別の理由で結局別れた。
別れるかどうかの話し合いで、交際中常に冷静に見えていた彼が私に対して重い執着心を持っていたことを知った。怒りをぶつけられたのも初めてだった。綺麗な終わりじゃなかった。完璧じゃない形で完璧に見えた恋愛は終わった。
彼に「別れても文章は書き続けて。俺をきっかけに辞めないで」と最後に言われた。
私が彼を好きになった理由は彼の言葉選びが素敵だったからでもある。
付き合う前のデートで読書が趣味の私に、本を沢山読んで感想を俺に教えて。と言ってくれた。
「本を読んで感想を人に伝えるのは一番知的な作業だと思うから」と。
丁寧に言葉を扱う人だったから彼が私の文章を肯定してくれたのは嬉しかった。
彼は完璧な人ではなかったかもしれない。少し欠けていて少しずるくて、でもとても優しい久しぶりにちゃんと好きになれた人だった。
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