江國香織の小説は全てが名作と言っても過言ではない。その中でも私が一番おすすめのウエハースの椅子 (ハルキ文庫)を今日はご紹介させて頂く。
本の説明を一行ですると、38歳の画家をしている独身女性が不倫をしている話だ。
それだけ聞くと、とてもありふれた所謂ドロドロの不倫小説を想像される方が多いかもしれない。
しかし江國香織の書く不倫には罪がない。
罪悪感もなければ、不倫が悪いこととして扱われてもいない。もちろん奥さんにバレて大変なことになる展開もない。
不倫が一人の女性と一人の男性のただの恋愛として書かれている。
主人公の女性も男性を責めたりしない。
男性も「妻とは別れるから」そんなことを口にせず、ただ主人公の女性を愛している。
一見すると大人の関係、割り切った関係かのように感じるが、少しずつ主人公の女性が「絶望」していく。
ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)には登場人物の名前さえ出てこない。「私」「恋人」「妹」のように記載されている。
そしてこの「絶望」が擬人化して主人公の女性の前に現れたりする。
私のつたない説明で伝わったか自信がないが、ただの不倫を描いた三文小説では決してない。
「不思議な世界観がある狂気じみた恋愛小説」である。
ちなみに私は、この話を学生の頃に読んだ時、初めは小説の雰囲気が好きで共感も理解も出来なかった。しかしアラサーになった今となっては38歳の独身女性が、結婚できない男性と付き合い続け絶望に苛まれる気持ちが理解できてしまい読んでいて苦しくなってしまう。
この小説は恋愛で絶望感を感じている女性に是非読んでほしい。そして愛と狂気に満ちた江國香織ワールドにどっぷり浸りたい方にもオススメの小説だ。
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